「揉」
という漢字はいささか官能的である。
「てへん」
に、
「やわらかい」
か書いて
「揉む」
まぁいやらしい。
そんなことはさておき、
昨年の今頃、アイドルに揉まれた話をしよう。
東京に魂を売った親友が、
気づかぬうちにダンスボーカルユニットでインディーズデビューを果たしていたのでその応援にいくことにした。
男なのに、
「安室奈美恵になりたい。」
という不可思議な夢を掲げて上京していった。
そんな彼が、アイドルになったようなので、仕事を終えてすぐさま勇み足で日本橋へ向かった。
日本橋とは、東京でいう秋葉原のようなところで、
そんなに可愛くない女の子が、
そんなに可愛くない制服やコスプレを着て、
そんなにおもしろくない話をしてくれるカフェにいざなってくれるところである。
とは言いつつも、一度メイド喫茶に行った事があるが、
大阪の子はやはり話もおもしろく、
サービス精神も旺盛なのでだんだん彼女達が可愛く見えてくる旨味が
男性の心をつかんで離さないのであろう。
そんなに行く事も無いので、親友のステージが設定してある
「アニメイト」がどこにあるか分からない。
開演5分前で迷子になり、適当なメイドに声をかけ道案内をさせた。
その節はありがとな、メイド。
そして、滑り込みでイベント会場に入るも、
舞台の上にはいわゆる「イケメン」がズラリと並んでいた。
しかし、
1月に栃木県でメガネを落としてからというもの、物事がぼんやりして見えている。
イケメンの一挙一動にキャーキャーうなる会場で、
私は完全に取り残されていた。
そして、私の隣に一人の高校生が着席し、
急いできたんだろう、「ハァハァ」吐息を漏らしながら
絶対に涼しくならないのに手をパタパタさせて手をうちわ代わりにあおいでいる。
その「手ちわ」がアグレッシブしぎて私の肩にバンバン当たる。
私は、手ちわごときでは動じない。
静かに親友の出番を待った。
隣の女子高生は、舞台上に出ているイケメングループが大好きなんだろう。
もう独り言とツッコミが、ハンパない。
すごくいいファンだとおもう。
こういう彼女のような声が束となり、舞台に届いてその会場自身の雰囲気が温かくなるのだ。
私ももうすぐ30歳に近いけど、
何かの拍子にアイドルになる事があれば、彼女のようなファンを1人は囲いたいと思う。
そして、会場のファンは本当によく笑う。
例え、全然おもしろくない話でも、
ありきたりの会話のルーティーンでもとにかく笑う。
そこで気づいた。
よく、好きなタイプを聞かれて、
「おもしろい人」
と答える人が居る。
でも、彼女達のおもしろいって、
「好きな人のおもしろい」であって、
同じトークを論外なブスがしていたら、絶対に鋭利な眼でにらみつけるだろう。
「好き」が大前提。おもしろくなくても何でも面白い。
多分、好きな人ならスーパー玉出の袋ぶら下げてるだけで大爆笑できるだろう。
「タイプ」なんて、後付けである。
話はそれたが、その親友の出番がとうとうきた。
彼は、3人グループでデビューし今日が初お披露目の日だったのだ。
彼が舞台上に現れた瞬間、周りの女子の吐息が漏れるような声で、
「イケメン・・・・<3」
と語尾にハートさえ付く勢いで聞こえてきた。
なんだか分からないが、親友がどこぞの知らない女の子にほめられているって、
めっちゃ優越感。
普段、私の顔の骨格は「ドヤ顔」に形成されているらしいが、
そのときばかりは輪をかけてドヤ顔だったと思う。
単純に親友が誇らしく思えた。
ついさっきまで、別のアイドルに黄色い声援を送っていた隣の手ちわガールも、
親友のダンスや出で立ちに別の色の吐息をもらしていた。
私のドヤ顔は昇天。
親友のshowを、セル級のドヤ顔で終止迎え、
久々に見た日本人イケメンをぼんやりした視力で見ていたことに若干後悔しつつ、
お腹がすきすぎて胃液ナイアガラだったので
アイドルとファンの織りなす一体感に馴染めなかったため、
そそくさと外で待ってくれているshow終わりの親友に挨拶をして帰った。
昔は、アイドルにハマって、
雑誌やブロマイドに大枚はたいたことを思い出した。
あるルートから聞くと私がハマったアイドルはほぼ全てゲイだったことを知り、
自分の目には狂いが無かったと痛感した。
歩くゲイ探知機は、すでに13歳の時点で構築されてたのだ。
なにはともあれ、華やかな世界を見に行くのはお肌にとても良さそうである。
金輪際、化粧水等はもう買うのをやめて、
また日本橋でメイドをかき分けながらアイドルのお尻を追いかけようと思う。応援を真摯にしていこうと思う。
そろそろムーンプリズムパワーが減ってきたので月に帰ります。
メーイクアップ!!!
ちなみに、その親友のユニットか「KKK」と書いて「カカカ」と読むユニットだった。
すっごい残念なことに、スペイン語で「うんこ」という意味であることは、
彼らには黙っておこうとおもう。(けど1秒で伝えた)。
オダブツ!